会話が聴こえないと不安がつのる
予防できる “認知症” の最大要因は “難聴” であることをご存知ですか?
“認知症” になると、どんなにカラダが健康的な人であっても、自律行動が難しくなり、家族に与える負担が増えます。
加齢によって生じる聴力低下は、誰にでも起こりえる現象ですが、そのリスクは体力や視力ほど危険視されていません。
今、難聴者に対する周囲の正しい理解が求められています。
執筆者:曽根 悦子
freecle Inc. / Web Engineer
認知症と難聴の関係
加齢による “難聴(老人性難聴)” は、一般的に、高い音から聴こえにくくなると言われています。
私たちの耳の中の蝸牛という場所に「有毛細胞」という細胞があり、その細胞が音を神経に伝える重要な役割を担っています。
加齢とともに、この「有毛細胞」が劣化・減少し、難聴につながるのですが、一度、劣化・減少すると、元に戻ることはありません。
“難聴(老人性難聴)” の治療が医学的に困難と言われるのはこのためです。
さらに、聴力が低下することで、外部から得られる情報量が減り、脳を使う機会が減って、”認知症” になるリスクが高まります。
2017年、世界五大医学雑誌『ランセット』を発行しているランセット委員会は、
“認知症” を引き起こす要因の内、予防できる最大の要因は「聴力低下」であることを発表し、
少しずつ “難聴” のリスクが広がりつつありますが、未だ十分に周知されていません。
難聴の予防方法
対処法として、メディアや医療機関は、主に以下の三つを挙げています。
- ストレスをためないこと
- 耳の血流をよくすること
- 大きな音を避けること
これは、著者の独断ですが、特に重要なことは、ストレスをためないこと、だと感じています。
“難聴” になるとにぎやかな場所で、友人や家族との声が聴こえにくくなり、疎外感・孤独感を抱くようになります。
その時に、場所を変える、近距離で話す、など様々な対処法があると思いますが、一番大事なことは、近しい家族や友人に日頃から相談し、そのように疎外感・孤独感を抱くシーンを作らないことではないでしょうか。
まとめ(著者の想い)
私の母は、カフェやレストランなどのにぎやかな場所で、大好きな友人との会話が聴こえず、ストレスを感じています。
今年で65歳になり、高齢者とも呼べる年齢になりましたが、つい数ヶ月前まで、当の本人は “ちょっと耳が遠いだけ” ですましていました。
そのため、私から積極的にコミュニケーションをとり、聴力低下の対処法を勉強し、共有するようにしています。
同じような境遇の方も多いのではないでしょうか?
この記事が、一人でも多くの方に届き、「難聴のリスク」に気づくきっかけにつながりますように。
皆さまも、是非、ご家族と話してみてください。
出所
ランセット委員会, “Dementia prevention, intervention, and care”
日本老年医学会, “高齢者の難聴”